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産後ケアの必要性。


社会問題や福祉のあり方に関しては当事者になって初めて気づくことが多いと思います。

当事者だけでなくわかりやすい記事を見つけたのでご紹介します。

■パンダの悲しいニュース 東京・上野動物園のパンダの赤ちゃんの死亡は本当に残念だった。シンシンが出産後、ものも食べずに15分おきに授乳しているとか、疲労の限界にきて赤ちゃんを放り出してしまったとか、しばらく休んで育児を再開したというニュースに、人間のお母さんの奮闘をつい重ねて、ハラハラしていたところだ。生まれた赤ちゃんと産後のお母さんが無事で過ごせるとは、パンダでも人間でも至難のことだと、改めて思う。 シンシンが床に放り出した赤ちゃんを、15分後には飼育係が拾いあげたという。人間よりも手厚いケアだ。マンションの一室で赤ちゃんをかかえて、へとへとになっている多くのお母さんたちがいるのに、社会の関心も手助けも、全く足りていないと思う。 ■産後の女性の状態-人間の場合 人間の女性は、パンダよりずっと大きい赤ちゃんを産むので、出産の身体への負担ははるかに厳しい。胎盤が剥がれた傷などから出血が続き、身体の要である骨盤が出産直後から一生で最も大きい変動幅で閉じていく。精神、神経は特別敏感になって、騒音やまぶしい光などで精神に失調をきたすこともある。ホルモンも大きく変動し、産後うつになりやすい状態と言われている。昔は産後の肥立ちが悪くて亡くなる女性が多かったし、現在はそこまで致命的ではなくても、産後がっくり体質が弱くなる人がいる。ほぼ体力が回復するまでの6カ月ほど、特に産褥(さんじょく)期の2カ月ほどは、女性の身体は、特別のいたわりが必要な状態だ。 その一方でお母さんは、赤ちゃんへの授乳や世話をしなければならない。夜中も3時間おきに授乳するなど寝られない日が続く。赤ちゃんがうまくお乳を飲めないというトラブルも珍しくない。また、赤ちゃんはだんだん重くなるし、首がすわる3カ月くらいまでは頭を支えなければならないので、手が腱鞘(けんしょう)炎になるお母さんも多い。ちょっとした外出でも、荷物やベビーカーは重い。2人目以降の出産では、上の子たちは何歳であっても不安定になり、無意識に自分への気をひこうとする。それに応えるのも、とてもエネルギーがいることだ。 ■パンダ並みに社会の関心と手助けを 産後のお母さんはこのように極めてきつい状態だが、実母や夫の母や親戚に、手助けしてもらえる場合は何とかやれる。しかし今、頼れる家族、親族がいない人が増えているのだ。それでいて、夫の産後休業、育児休業取得は遅々として進まない。シングルマザーや、双子・三つ子を産んだ人、障害児を産んだ人は、さらに厳しい状況にいることも忘れないでおきたい。ぼろぼろになったお母さんは当然、虐待にも至りやすい。母子関係が不幸な出発をすると、子どもの生涯にその暗い影が落ちてしまう。 どの産後の母子にも、パンダのように十分に社会の関心が払われたらと思う。産後のお母さんの元に毎日食事を届けたり、洗濯をしたり、赤ちゃんをしばらく見てあげたり、そのほかお母さんの望むことをする手助けも、公的サポートやNPO活動などの形で、どの地域でも早くなされるといい。支えを得られれば、お母さんが赤ちゃんを心底いつくしむ、聖母子像のような姿が現れるだろう。そのことは、母子だけでなく社会のすべての人に、深い喜びを与えるはずだ。 (明治大学文学部准教授 平山満紀)

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